前回の生理開始日から次の生理開始日までの期間を生理周期と言います。生理周期は25日〜38日までと個人差が大きいことが特徴です。健康な人でも、その月の体調で数日の生理周期の乱れが起こることはよくみられます。
一方で、25日よりも短い周期で生理が頻回に来たり、逆に生理周期がとても長い場合、生理が来る日がバラバラで生理周期が安定しな場合は身体の中のホルモン分泌に問題があったり、治療が必要になることもありますので、婦人科で相談してみると良いでしょう。
なお、女性の身体には特に妊娠しやすい時期とそうではない時期があります。一番に妊娠しやすい排卵日は生理周期にかかわらず、生理予定日の2週間前と言われています。精子の寿命は2~3日、長いと1週間、卵子の寿命は1日と言われていますので、特に排卵予定日前後はしっかりと避妊するようにしましょう。
あなたのからだや心、ライフプランを考えるうえで、避妊についての正しい知識を知っておくことはとても重要なことです。いつでも、どんな人でも、性交渉をしたら、妊娠の可能性を完全にゼロにすることはできません。安全日=妊娠しない日はないと思ってください。
また、どんな方法であっても、100%の避妊効果はないことを忘れないでください。
コンドーム:日本で一番使用されることの多い避妊方法です。男性器にコンドーム を装着することにより、精子が女性の体内に入り受精することを予防します。
IUD:女性の子宮内に避妊具を入れておくことにより、受精卵が着床することを防ぎ、妊娠を予防することができます。
避妊に失敗してしまったら、性交渉後72時間以内にアフターピルを飲むことで避妊の効果を高い確率で得ることができます。
アフターピルは排卵を抑制する効果と受精卵が着床するのを抑制する効果があります。内服後3日〜3週間で消退出血が見られたら、避妊が成功したことになります。
お薬の作用で大きく体内のホルモンバランスを変えることが出来るお薬なので、安易に内服せず、本当に必要なときにのみ使用するようにしましょう。
なお、一度アフターピルを内服すると月経のリズムが落ち着くまでに数カ月を要することがあります。それまではいつ排卵するかわからない状態(=妊娠しやすい状態)になっているのでより確実な避妊が必要になります。
低用量ピルとはエストロゲン・プロゲステロンというホルモンが含まれているお薬です。卵胞刺激ホルモンおよび黄体化ホルモンの分泌を減少させ、卵子の元になる卵胞の発育および排卵を抑制する働きがあります。そのため、毎日同じ時間に内服することで排卵を抑えることができ、理論上では妊娠ができない状態の身体になり、高い避妊効果を期待することができます。
また、低用量ピルを内服すると規則的に生理のような消退出血が28日周期で来るようになります。出血量は生理よりも少なく、また生理痛や生理前の不快なPMS(月経前症候群)の症状の緩和の効果も期待することができます。
妊娠検査薬は、女性の尿中に含まれるホルモン濃度を元に妊娠の有無を判定します。検査薬はドラッグストアで1000円前後で販売されています。
一般的に販売されている検査薬には2種類あり、早期妊娠検査薬と一般的な妊娠検査薬に分かれます。一般的な検査薬を用いる場合では生理周期が安定している場合は、生理予定日から1週間後、生理周期が安定していない場合は疑わしい性交渉から3週間後以降に使用することで妊娠しているかどうかを確認することができます。
早期妊娠検査薬は低いホルモン濃度でも反応するため、生理予定日もしくは、性交渉から2週間後から使用することができます。正しい結果をえるために、十分な日付を待ってから一度使用してみて、その1週間後にもう一度確認する抱負がメーカーから推奨されています。
インターネットに多く書かれている妊娠初期症状ですが、実際は身体に起きる症状からだけでは妊娠を判断することができません。頭痛やほてり、眠気、乳房やおりものの変化など妊娠初期症状と書かれている症状は、体調不良や月経前の症状でも似たような症状が現れます。
妊娠したかどうかは、妊娠検査薬で検査をする、もしくは病院の診断を受けるまで知ることができません。
卵子と精子が出会い受精卵となったのちに、受精卵が子宮内膜と呼ばれる組織に入り込むことを着床といいます。その時に出血を生じることがあり、それを着床出血と言います。受精卵は塩粒くらい(0.1mm)の大きさで、出血も普段の月経と比べると少なくなります。
気がつかない人やおりものが茶褐色になる程度の方も多くいます。
基礎体温は婦人体温計という専用の体温計を使って、毎朝起きてすぐの活動を開始する前の状態に、口腔内で測定する体温を言います。
この基礎体温を毎日継続して測定することで、体温の変化から女性ホルモンの変化や一番妊娠しやすいと言われている排卵日、生理開始日の予測が立てやすくなります。
健康な女性の場合、基礎体温は低温期と高温期の2層に分かれますが、生理の周期が不規則な場合は、2つのラインができなく、排卵がうまくおきていない可能性があります。治療を必要とすることもありますので、婦人科を受診してみることをお勧めいたします。
中絶手術については母体保護法で定められており、現在は21週6日までしか受けることができません。また、妊娠週数により、初期(~11週6日)・中期(12週0日〜)に別れています。
初期中絶では吸引や掻爬という方法で赤ちゃんを体外に排出する処置を行います。一方で中期中絶は人工的に陣痛と同じような痛みを起こして、子宮口を開き流産させる方法となるため、身体への負担だけではなく、精神的にも大きな負担となります。日数がかかるため、入院が必要になります。
身体や心への負担や経済的な負担も初期と中期で大きく異なります。安易な中絶術は避けるべきですが、負担ということを考えると、初期中絶の方が負担は少なくなります。
※もしも性暴力(レイプ)にあわれてしまった場合は、警察に行くと、その時の状況を説明することで、診察・検査、緊急避妊ピルの処方を受けることが無料でできます。それでも妊娠していた場合に、中絶を希望される時は、手術費用の負担もありません。
詳しくは性暴力被害者ワンストップ支援センター「アイリスホットライン」で検索してみてください。相談電話番号 048-839-8341
一般的に妊娠・出産は病気ではないため、保険診療にはなりません。一方で、妊娠がわかった後にお住いの地区の行政窓口で母子手帳を受け取ると、妊婦健康診査の助成を受けられる助成券がついています。
埼玉県では現在13,910円の券、8000円の券、5000円の券を合わせて14枚お渡ししています(埼玉県内の市町村はすべて同一です)。
市区町村により助成金額が異なりますので、他県の方は、お住いの行政窓口に問い合わせてみると良いでしょう。
また、国民健康保険や社会保険に加入していれば、出産後は出産育児一時金という手当が1児あたり42万円支給されます。それ以外にも、出産のために仕事を休んだときに支給される出産手当金や妊娠高血圧症候群等療養援護費など、状況に応じて、利用できる制度があります。(※生活保護受給家庭は除く)
もしも、妊娠や出産、育児に関する経済的な問題があり悩まれている場合はどうぞご相談ください。直接的な金銭的な援助は行っておりませんが、使える福祉制度がないか一緒に考えましょう。